船を支える人々

To support the ship

外航船員のお仕事

世界経済が発展し続けるために不可欠な産業

外航船とは、国際海上物品運送法の適用がある船舶です。その外航船を操縦する船員を外航船員(航海士、機関士など)と言います。

船員は、海技士の資格1級海技士から6級海技士に分けられる「航海士」、「機関士」の資格と「通信士」の資格があります。「航海士」「機関士」の資格は、船のトン数(大きさ)、エンジンの出力や航行する区域によって、その船に乗り組む職員の資格と人数が法律で決められています。

外航船員になるためには3級を取得するのが一般的で、いずれもある一定期間、実際に船に乗って実習経験(乗船履歴)を積むほか、国家試験(学科試験と身体検査)に合格する必要があります。

私たちが生活するために必要な資源・食料・工業製品・生活用品等のほとんどは輸出入に頼っています。海上輸送を通じて、日本経済を支える重要なお仕事です。

外航船員の職種

船内のしくみと船員の役割

外航船は、船長、機関長をはじめとする「職員(オフィサー)」と呼ばれる船員と 、 職 員をサポ ーする「 部員 (クルー)」と呼ばれる船員が協力して24時間体制(4時間ごとの3交代制)で運航されてい ます。

  1. 職員(オフィサー) 法律で定められた国家試験に合格して海技資格を持って、船に乗り組む人。
    船長、機関長、通信長、航海士、機関士、通信士など
  2. 部員 (クルー)
    職員を補助するさまざまな仕事を行う人。
    甲板員、機関員、事務部員など

船の最高責任者である船長のもとに、4つの部門が分担して仕事をしています。 全長400mにもなる大型コンテナ船でも乗組員 はわずか22 ~ 24人程度です。

乗組員体制の例

※総乗組員24人の場合

甲板部
操船(船をあやつること)から貨物の積みおろしなど
機関部
エンジンやボイラーなどの運転や整備、燃料の補給など
無線部
陸上や他の船舶との通信など
事務部
出入港手続き、船内での調理、客船などでの乗客へのサービス

※現在では通信設備が進歩したため、船長・航海士などが通信士の仕事を兼任する船が多くなっています。

ただの飾りじゃない!~肩章と袖章~

船の船員の階級や職務は、制服の肩章や袖章(冬服)の金筋の本数と間の色でわかります。

金筋4本は船長と機関長です。3本が1等航海士や1等機関士、2本が2等航海士や2等機関士、1本が3等航海士、3等機関士を表します。金筋の間の色が「黒」は船長や航海士、機関長や機関士は「紫」と違いあります。

船長のお仕事

すべての業務・人事を掌握する船全体の指揮官。
キャプテンまたはマスターと呼ばれています。積荷や乗客を安全に目的地へ運ぶ責任があります。

主な仕事は季節ごとの気象や海の状況を考慮して針路を定めたり、出入港時や狭い海峡、水路などを通過するときは自ら指揮を執ったり、また、船の安全を守る必要がある場合は船員、乗客に対して命令することができるなど、法によって強い権限が与えられています。

船長のインタビュー

外航船員 Q&A

一度の乗船すれば数ヶ月間家を離れ、航海を続ける外航船員たち。
彼らは乗船中、そして船を下りてからの長期休暇中、どのような暮らしをしているのか。気になる暮らしぶりについて疑問を集めました。

船員さんはどのくらいお給料もらってるんですか?

会社によって給料や手当は異なりますが、海運会社と全日本海員組合との間で労働協約が定められており、基準が明確化されています。

最低賃金は、あくまでも基本給のみで、乗船中はさまざまな諸手当が支給されます。航海日当、日本に所要期間(2〜5ヵ月)入港しない船舶を対象として長期就航手当や、夏季ペルシャ湾就航船への特別手当、タンカー手当などの支給が定められています。
また、乗船中の光熱費、水道代、食費はすべて会社が負担し、個人負担はまったくありません。これも船員という職業の特徴のひとつです。

船員さんは休暇をいつ取るんですか?

乗船勤務に従事していた船員の休日・休暇は、連続してまとめて取得することができます。例えば、一般企業の連続休暇が長くてゴールデンウィークの10日程度であるのに対して、船員は約4ヵ月乗船後、約2ヵ月程度の休暇(または約6ヵ月乗船後、約3ヵ月程度休暇)の長期休暇が可能。これを利用して旅行をはじめさまざまな活動をじっくりと楽しむことができます。以下、船員として勤務した場合の休日・休暇について解説いたします。

年間の休日・休暇の付与、およびその取り扱いなどは労働協約で定められています。陸上休暇は年間120日(有給休暇25労働日含む)とされており、その他に乗船中は週1日の船内休日があります。また、本人の結婚、近親者の死亡に対応した特別休暇の付与など、船員の特殊事情を配慮した休暇制度も定められています。
また、休暇取得の要求と社会的な奨励から、例えば4ヵ月乗船後は約2ヵ月程の休暇を取る、といった乗船・休暇サイクルが望ましいともされています。


参考文献
・社団法人 日本船主協会 Webサイト:https://www.jsanet.or.jp/
「海の上のプロフェッショナル〜世界に広がる夢の職場」

船の上での食事はどうしているのですか?

船員にとって食事は、一日の楽しみのひとつ。船は長い日数をかけて航海しているので、料理は船の上で行います。外航船にはコックが乗船しており、船員全員の食事を作ります。
陸上と同じように、栄養のバランスを考えた献立を作り、必要な食材を購入して調理します。

おいしい料理を作ることも重要ですが、食品や調理場の衛生管理などの知識も必要とされるため、コックは「船舶料理士」という国家資格を取得することが決められています。船の場合は、毎日買い物をするわけにいかないため、一度に数ヶ月分の食材を仕入れて大きな冷蔵庫・冷凍庫で保存しています。また船上では、安全のためガスは使用できないので、電気や蒸気を使って料理をします。

参考文献
・社団法人 日本船主協会 Webサイト:https://www.jsanet.or.jp/
「海の上のプロフェッショナル〜世界に広がる夢の職場」

船上でのプライベートは何してるんですか?

待遇がいい、給料がいい、長期休暇が取得できるなど、外航船員にはうれしい要素がいっぱいありますが、船上での楽しみといえば、頻繁にいろんな外国に行けること。あくまでもビジネスであり、決して物見遊山の観光旅行ではありませんが、それでも美しい異国の港に入り、その街の風情や文化に触れたり、自然の驚異を直に味わったり、美味しい料理に舌鼓を打つことは、船員にとって最高の楽しみ。心躍る風景に海側から迫っていく妙味があります。仕事を通じて視野も大きく広がり、また世界の地理を実地で勉強できるチャンスがあるのもポイントです。

また、各自部屋(一人部屋)で趣味に高じたり、船の施設(卓球台やバスケットコート、トレーニングジム、カラオケなど)でストレス解消したり、船員同士で宴を開いたり、陸上とほぼ同じ感覚で娯楽を楽しむこともできます。船上から見る美しい朝日や夕日、夜空の星も、船員にしか見ることのできない特権のひとつです。
仲間との絆を深め、大自然と異文化に触れながら、好きな仕事に従事できる素晴らしさ…人生の醍醐味がここに凝縮されています。

参考文献
・商船高専キャリア教育研究会編(2009)
「船しごと、海しごと」海文堂