弓削商船高等専門学校
ロマンがあり、海とともに生きる姿がカッコいい!
そんな船の機関士になる

愛媛県越智郡上島町。瀬戸内海の弓削島に弓削商船高等専門学校はあります。2024年に練習船「弓削丸」が新造されたばかり。航海・機関のコース選択を3年生後期に実施します。商船系高専の中では最も遅く、じっくり将来を考えられるのが特徴です。商船学科機関コースの山本磨寛(やまもと まひろ)さんが高専を選んだ理由、そして夢を語りました。
サメの歯がカッコいい!
その感情が海好きになるきっかけに

海を好きになる理由は人それぞれですが、山本さんのきっかけは一風変わっています。
「博物館で買ってもらったサメの歯がカッコよくて好きでした。サメを調べるうちに魚が好きになり、海が好きになりました。海は波の音を奏でて私たちに安心感を与えてくれる一方で、巨大な船を受け止めてくれる。船にも大海原を渡るロマンがあり、海とともに生きる姿がカッコいいなと思いました」
海に関わる仕事がしたいと漠然と考えて進路を調べていくと、商船系高専を知ります。座学だけでなく実習や実験をして学べる環境と、専門的な技術が身につくところに魅力に感じ進学を決めました。
機械いじりが好きで機関コース
機器の分解・組み立て実習が印象深い

外航船員を目指すことにしたのは、どんな理由があったのでしょう。
「目指すなら、大きなフィールドで働きたいと思ったからです。外航船員は、世界を相手に働ける仕事。大変そうだけど、やりがいも大きそうだし、挑戦する価値があると感じたのです」
弓削商船高専では航海、機関両方の講義を受けた後、3年時に希望のコースを選択します。山本さんは機関コースを選んだのですが、理由は「機械いじりが好きだったから」。印象に残っている授業を聞くと、山本さんらしい答えが返ってきました。
「初めて機器を分解・組み立てした実習は特に印象に残っています。教科書で読んだ機器の仕組みが目の前で動いていることに感動しました。作業の中で失敗もありましたが、学ぶことが多かったです」
仲間と楽しい時間を過ごすうち
自分の意見をはっきり言えるように

商船系高専は同じ目標をもった仲間が集まるので、話が合うし、いい刺激を受けたといいます。仲間に恵まれ楽しい思い出がたくさんあったようで、例えば、所属していたカッター部の部員と、放課後に釣りに行ったり、高学年になると素潜りしたり。さらに……、
「寮では毎日いろいろな人と顔を合わせるので、自然と人間関係が広がります。最初は慣れないことも多かったのですが、今では仲間と夜遅くまで話し込んだり、くだらないことで笑ったりする時間が楽しいです。学生は愛媛県以外の各県からも来ていて、長期休みの間は、兵庫県の自分の家に仲間が泊まりに来たことがあります」
入学した当初は周りの目が気になって控えめでしたが、こうした環境だと自分から積極的に語りかけないと楽しくないので、見知らぬ人とも会話をするうちに、自分の意見をはっきりと伝えられるようになったそうです。
どんなときも冷静に対応できる
信頼される機関士になりたい

さて将来どんな機関士になりたいのでしょうか。
「トラブルが起きたときも冷静に対応できる、信頼される機関士になりたいです。ただ仕事ができるだけじゃなく、後輩や仲間から“一緒に働きたい”と思ってもらえるような存在を目指しています」
弓削商船高専で育まれた仲間を大事にする精神は、世界の大海原にでたときに力を発揮するでしょう。
商船系高専生が語る
船と海と夢
教室だけではなく、船や海での実習を重ねながら、航海士、機関士としての知識と技術を身につけていく商船系高等専門学校。
5校の高専生が、商船系高専を志望した理由、学校での学び、船の魅力、海への思い、そして将来の夢を語りました。(2025年取材)